この頃、道場がなんだか静かです。
必ずしも静かなことは悪ではないのですが。

静かになった原因は、2つ考えられます。
ひとつの原因は、常連ニンジャ達が心身共に成長して淡々黙々と作業していることが増えたからです。
やりたいこと、関心のあることがあって、それに集中している。
自分の取り組みや関心事について何かしらのカタチで共有してくれるし、非常に嬉しいことです。
もちろん、相変わらず低学年の参加者がそれなりにいて「低学年ならではの賑やかさ」もあります。
でも、低学年の子たちなりに「自分のやりたいこと」に集中しながら仲間と楽しく取り組んでいるので、「ただ単に混沌としている」のとは違う賑やかさだなと感じています。

そして、もうひとつでなおかつ一番の原因は、参加人数が減少したことです。
昨年の今頃と比べると半数近く減りました。
現在は平均6、7名。常連のニンジャ10数名が代わる代わる参加しています。
昨年後半は平均12、3名で、15名を超える回もありましたから、物理的な音量が違います。
近頃、何度かニンジャたちから「今日、少ないね」「静かだね」と指摘を受けました。
良い意味か悪い意味かはさておき、少なくとも「ニンジャたちから見ても気になる程度の状態変化」なのです。

参加人数が減少した原因は2つほど思い当たります。
ひとつは、常連ニンジャのライフスタイルの変化です。
成長と共に日々の予定が変わるばかりではなく、家族の事情もありますし、これは避けて通れません。

もうひとつは、新規の参加希望者が現れないためです。
ボランティアはおろか、遂にニンジャ希望者までも…。

学習指導要領が改訂する直前とはいえ、コンピュータを積極的に活用すること自体が相変わらず「ニッチな世界」で、その上で「自らの意思で参加したい人」と限定するから敷居が高いのかも知れないと薄々感じている(けど、やる気のない人の対応をするのはメンドウクサイと強く思っている)のはさておきまして。

「多摩地域のDojoが増えて、参加者が分散したのでは」という御意見をチラホラ伺いますが、土休日開催のDojoが多い中で当会は平日夜開催なので、あまり関係ないでしょう。
それよりも、運営側の私が多忙にかまかけて積極的な広報活動を行っていないことが原因でしょう。現状は、常連参加者の保護者のクチコミ頼みの面が強いです…。
実際、放課後教室などのボランティアで訪問している小学校で父兄や先生方に話をしても CoderDojo の存在を全く知りません…何校かに Dojo Scratch 本を寄贈したのですが、それすら読まれているのかどうか…(遠目)。小平市長など、地域のイベントで3年連続「コーダーとは何ですか」と尋ねてきて来ておきながら全くと言って良いほど興味なさそうに秒で立ち去りますし。認知度低いです。
半年近く問合せがありません。
今年の3〜5月に何名か来たのですが、残念ながら定着には至りませんでした。
他の用事で忙しい、肌に合わないなどなど、理由は様々です。
「肌に合わない」と思われたことは道場主である私の努力不足によるところが大きいので、真摯に受け止め改善に努めて参る所存です。


突然の質問で恐縮です。
皆さんは、なぜ「自らの意思で、自由にやりたいことを決めて学ぶ」場を選ぶのでしょうか。
そうでない方は、逆に、なぜ、自由の少ない学びの場を選ぶのでしょうか。
「それしか選択肢がないから選びようがない」場合は、なぜ、選択肢が少ないのでしょうか。
それと、「教え合い、学び合う」ことと「先生がいない学びの場」をどのように考えているでしょうか。

CoderDojoは基本的に7歳から17歳の若者を対象としています。
加えて「コミュニティ」を前提基盤としており、学習方法はピア学習・ユースメンタリング・自己主導型学習の3本立てです。
ですから、学習者である若者本人の「プログラミングをやりたい」「他人と交流したい」という自発的あるいは自主的な意思がないことには始まりません。
それでは「やりたい」という意思は一体どのようなもので、それに対して他の人がどのようにして認識を共有するのでしょうか。
正解はひとつではありませんし、各自の見解を話合ってみたいものです。


話は変わりまして。
小平道場は、「日常の延長上の存在」として運営しているつもりです。
学校のクラブ活動や同好会、趣味の者の集まりくらいの立ち位置です。
日常と切り離された特別な体験をできる場所ではなく、日常生活とは地続きの場所です。
道場での体験を日常に持ち帰り、日常の体験を道場に持ち込む、この繰り返しで参加者が相互に研鑽し合う場所です。
根底には「意欲のある若者に対する平等な学習機会の提供」がありまして、実際に提供しているのは多少の「教育サービス」と「社会環境」です。環境をどのように活用するかは参加者任せです。
(これは小平道場に限った話で、他のDojoは必ずしもそうではありません)
そういった点で「参加してみたいけど、特別な体験をしてから、吟味したい」人たちと「心構えが出来てから参加してほしい」運営側とで需要と供給が合っていないことは理解しております。加えて「広報活動を兼ねた特別体験イベントを積極的に開催するほどの体力がない」問題もあります。どうやったら特別体験イベントの開催ができるのか…コミュニティベースで運営している場所ですから、そういった意味でも「協力」できる方の参加をお願いしたいところです…。

また、若者がプログラミングを学ぶ場であることに加えてオープンソースコミュニティであることに共感を覚えて CoderDojo という枠組みを使っていますが、「道場へ参加するからには、プログラミングを学習する以外のことをしてはならない」とは考えていません。
以前は「教育的機能のある保育所」か何かと勘違いしているような参加者が多かったので積極的にプログラミング学習をしない参加者に対して厳しい対応をすることもありましたが、現在は参加者が完全に入れ替わって状況が改善したため、そのような対応はしていません。

道場にはボランティアの学習支援者(メンター)がいます。
ただし、メンターは万能の神ではありません。
一般的は定義はさておき、CoderDojoにおけるメンターは「技術の水先案内人」です。
「次につながるきっかけを作ってくれる人」であり、「自分だけの答えを、自らの手で獲得するチカラを身に付けるお手伝いをする人」でもあります。
そして活動中は学習者であるニンジャとメンターの立場が入れかわることもしばしばあります。
ニンジャがメンターでメンターがニンジャになったり、場合によっては全員がニンジャ、ということもあります。メンターのニンジャ化は、積極的にDojoに関わる大人の参加者が多いDojoで多く見られる傾向です。みんなでワチャワチャしていて楽しいですよね。
学習者にせよ学習支援者にせよ、好奇心が旺盛で「学び」に貪欲な人たちにとってはDojoは楽しい場所ですが、唯一無二の回答を1秒でも早く提供してもらうことを期待している学習者や「私より豊富な知識を持った専門家からしか何も教わる事はない」という非常に高慢な学習者や「目下の者に知識を授けたいだけ」の人たちにとっては退屈な場所でしょう。少なくとも小平道場には向いていません。
いずれにせよ、ニンジャも、メンターも、ガーディアンも、道場主(チャンピオン)も、あくまで「なんとなく便宜上分けた」程度の「ラベル」であり絶対のものではないと考えて頂けたら幸いです。
これが「教え合い、学び合う」「先生がいない」たる所以です。

道場は若者たちの学びの場だから若者たちが自治を行ってくれることが一番望ましいのですが、小平道場に関しては、まだまだ先が見えません。
いずれにせよ、参加者である若者たちが、道場への参加をきっかけに自己の世界を広げ深めてくれたら大変喜ばしいです。
贅沢は言いません。子供達にとって道場が「踏み台」として機能すれば十分です。

基本的には、学習者であるニンジャと学習支援や見守りを行うボランティアのそのどちらも自主的・自発的に参加をすることが前提にあります。
CoderDojo 憲章」に合意できて、なおかつ小平道場の活動を「一緒に」盛り上げて下さる方の参加、心よりお待ち申し上げております!!
申込方法など詳細は「参加申込」のページを御確認下さいませ。
(あっ、ニンジャの学習を支えるための賛助会員も絶賛募集中です!)