150929cargobot
こんにちは、「とが」です。
ScratchやCode.orgの操作がどうにも難しいという子達のために、もう少し手軽に楽しく、プログラミングに必要な考え方を学べるアプリケーションソフトを紹介します。
(※9月9日分の開催レポートに補足として載せていた内容を加筆修正して掲載し直しました。)

はじめてのCoderDojoと、ニンジャ達の初期能力

小平道場における初参加者の現状

CoderDojoは名前の通りプログラミングの道場なので、マウス操作とキーボード入力が出来る子達が暗黙のうちに集まります。
とは言っても国内の殆どのDojoは年齢以外の参加制限を明確に設けておらず、自宅や学校でIT機器(PC、タブレット端末全般)に殆ど触れたことのない「マウス操作も初心者」な子も参加します(逆に、マウス操作やキーボード入力に慣れた未就学児が参加する場合もあります)。
ところで、小平道場では、プログラミング初経験で特にこれといった目標を持たずに来た子達にはCode.orgScratchを勧めています。基本的にはどちらも子ども向けの独習環境で、「とにかく操作して、何が起こるか発見して、感動体験を重ねることで理解を深める」ようにインタフェースが作られているからです。ただ、IT機器に不慣れな子は、これらのツールの操作方法の学び始めの早い段階で行き詰まる場合があります。

参加資格をマウス操作・キーボード入力ができる子に制限すべきでは?

「そんな状態だと、プログラミングどころではないのでは!?」とツッコミどころ満載ですが、参加を普通に受け入れています。
受け入れる理由は、本人が望めば自由に参加できる場を提供したいからは勿論、子どもを通して保護者や周りの大人達に情報技術に関心を持って欲しいからです。Dojoに参加した子ども達の成長を見て情報技術は過度に恐れる物ではないと認識してくれれば、保護者自身が少なからず情報技術を理解しようと積極的に導入しようと努めるようになり、子どもにも積極的に勧めるようになるだろうと期待しているからです。あくまで期待ですが。

速攻で行き詰まる子達への対応

速攻で行き詰まる子達は往々にして、最初の「とにかく操作してみる」が上手くできません。
「とにかく操作する」ことから始まる道具とはいえ、チュートリアルやヘルプが用意されています。本来、そういったマニュアルに従って操作していけば必要な機能を一通り習得できるようになっていますが、「自分でやりたい」と言って無視する例も多いです。だから結局「とにかく操作する」しかないのですが、何の気付きも得られずに戸惑って行き詰まります。バッサリ言うならプライドが高くて教わり下手、柔らかく言うなら他人に自分の気持ちを伝えることがちょこっと苦手なんですよね。
一番良いのはメンター側が子ども達に合わせて難易度を調整し、少しずつ成功体験を重ねさせてあげることですが、全員が全員そこまで熟達したメンタリングができるわけではありません。
なので、その場合は手っ取り早く「君がその道具を使うのは、まだ早いかな」などと言い切って終わらす方法もあります。そこで皆が皆「君にはまだ早い」で納得してくれたら良いのですが必ずしもそうではありませんし、突き放したところで新しいことを学ぶ機会を逃すだけになります。誰も教えてくれないと言って諦め癖がついてしまう可能性もあります。
そういったことで、ScratchやCode.orgの操作が困難そうな子達には「プログラミングをやる前に、準備運動しよう」という意味で、プログラミング体験に結びつくようなゲームソフト(iOSアプリ、Androidアプリ、Webアプリ)を紹介しています。

小平道場でオススメするゲーム2点

(下記画像はAppStoreや各種紹介記事から引用)

lightbot


"Hour of Code"でもお馴染みの、プログラミングロジックを使ったパズルゲーム。
青色のパネルを全て点灯させることでステージクリア。
遊びながら条件分岐、ループなどを学ぶことができる。
4~8歳向けと9歳以上向け(有料)、Hour of Code版(無料)があるが、軽く体験するだけならどれを選んでも大差なし(9歳以上向けがフルパックで、他はお試し版というイメージ)。
対応環境:iOS、Android、PC

Cargo-Bot


画面左側に一山に積まれた荷物を、画面の指示に従って移動させるパズルゲーム。無料。
対応環境:iOS

おうちで遊んで欲しい!プログラミング教育の話では話題に上らないけれど、オススメのゲーム2点

Dojoの時間内だとゲームプレイ祭りになってしまって作る方をやらなくなりそうなので願わくばやめてほしいのですが(苦笑)、私の個人的な趣味でお勧めしたいゲームがあります。
Brain Dots」や「まかいピクニック」です。

Brain Dotsは「描く脳トレ」ゲームアプリを謳っていて、プレイヤーが白い画面上に何かしらの図形を描いて水色とピンクのボールを動かしてぶつけるとステージクリアになります。重力を意識できるかも重要です。対応環境:iOS、Android。
まかいピクニックは「放置系パズル」を謳っていて、ゴールにいる仲間を助けるためにアイテムを収集しながら様々な障害や敵の待ち受けるフィールドを進んでいくゲームです。パーティー編成によって移動の仕方と配点が変わるので、どのように組むかが重要になります。対応環境:iOS、Android。

ゲームを紹介する理由

全てに共通していることは、解決する課題が非常にシンプルであること、「闇雲に操作して上手く行く」ものではなく少なからず頭を使わないと目標を達成できないことです。
加えて、ハウツーサイトや攻略サイト等を見て、見よう見まねで操作しても「ああ…!」と感じる要素があることも大事にしています。

先日の記事にも書いた通り、プログラミングには、「いま、直面している問題をどうやって解決するか」を具体的にイメージする力が不可欠です。
何事にも言えますが、遊びの中で楽しみながら学んで行くことが、何かを身に付けるための一番の近道です。
それと、適度に困難が発生することが大切です。難しい事ばかりだと疲れるし、簡単な事ばかりだと単純作業になってしまいます。だから、そういった難易度の調整を年長者が促してあげられると、子ども達はより楽しみながら勝手に学んで行ってくれるんじゃないかと思います。

いっぱいプレイしたら、自分でもゲームを作ってみよう。

ゲームで遊ぶことに慣れてきたら、普通にインターネットで興味のあることを検索したり、ScratchJrViscuitなどで簡単なゲーム作りに挑戦してみましょう。

ScratchJr


MITが開発した、5~7歳児向けのプログラミングアプリ。無料。
殆ど文字入力をすることなく、インタラクティブアニメーションやゲームを作ることができる。制作活動を通して問題解決能力やデザイン、想像力を養う事ができる。
対応環境:iOS、Android

Viscuit


幾つもの単純な動きを組み合わせることによってコンピュータが動く仕組みを直感的に理解しよう、というのがコンセプト。アニメーションやゲーム、動く絵本を作ることができる。
対応環境:PC

という訳で、Code.orgやScratchの操作が困難なのは、機器の操作の慣れの問題が大きいです。
どうしても自宅でPCに触れることができない子は、Dojoや学校や児童館などでどんどん触って、少しずつ慣れていってもらえたらと思います。